現地では、アレンの木が自生している森林に案内してもらいました。
アレンの木は成長すると約10mにもなり、幹の直径は50cmぐらい
あります。
黒い毛皮のようなものは幹に巻きついて、日本の棕櫚の繊維に似てい
ました。
一回皮をはぎ取っても5〜6年経つと成長した幹にまた繊維が巻き付き
木の寿命が続く限り何度でも採集できるとのことでした。
また、花の茎の付け根部分にキズをつけると樹液が流れ出して、この
樹液を採取して黒砂糖が作られていました。
また、アレンの葉っぱを屋根材として使っている民家もありましたがこの
アレン木は自然界に点在する樹木で無限にあるわけではないため現地
でも貴重な天然資源として大切にされていました。
 静岡県浜松市にある本社と打ち合わせの上、インドネシアで庭ほうき
作りにおいて、最初に手がけたのは、座敷ホーキほうきの時同様、原
料が安定確保できる体制を作ることでした。
良質な繊維を採集する上で一番大変なのは、アレンの素材をすいて一
本一本の繊維に仕上げる精製作業です。
ブラシの材料となる繊維をすいているところを見学しましたが、手作業
で大変な作業風景でした。
金属製のくしの上を何度もすくのですが、その際に多量のゴミとホコリ
が舞い上がるので、工場の中ではできないとのことでした。
従来のシダ製の庭ほうきより、使いやすくて丈夫なものを作るためには
現地ですでに作られているブラシ用の繊維より太くて長い繊維だけを
集めることが条件でした。
ブラシは短い繊維を使用するため、細く柔らかい繊維が混じっても製品
の機能上何ら支障がないのですが、庭ほうきはブラシ用より4倍も長く
太さも揃った繊維を必要とされていましたから、精製作業には一段と
手間がかかったのです。
また、これは重労働で皆が嫌がる仕事でした。
原料は目方で仕入れるため、繊維束の真ん中に短い繊維を入れたり
水を含ませた繊維を混ぜて目方を重くして持って来る業者もいて、現地
の取引業者との信用関係を確立するまでには一苦労しました。
すき作業の後は、繊維の長さによって50cmから1mの間で3段階に
選別し、繊維の両端は長さが不揃いになるため切り落として、太く揃っ
た部分だけを原料として使うことにしました。我が社の基準で精製する
と、庭ほうきに使える原料は全体の30%ぐらいで70%は廃棄としなけ
ればなりませんでした。
 ほうきの生産工場は都市郊外に建設しましたが、ほうき草の栽培はそ
の工場から車で6時間ぐらい移動時間がかかる山間地でした。
付近にはホテルもないため、当社社員は現地の住まいを借りて生活を
していました。
当時は電気、水道などが整備されていないため、現地の方同様、風呂
やテレビのない生活となったのです。
休日には辞書でインドネシア語の勉強をしたり、現地の方とゲームを
楽しんだりしたとの記録も残っています。
指導員たちの一番の楽しみは、時々日本から送られてくるインスタン
トラーメンであったそうです。
こうして、現地の人々と共に生活をしてほうきを作り、さらに新たな
可能性を求めて新素材のほうきの研究を進めていったのです。
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アレンの木

作業風景:繊維をすく

作業風景:繊維を束ねる
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